Raca

スーパー耐久シリーズ第5戦富士を終えて

あっと言う間の10時間だった。
楽しい時間は流れていくのが本当に速い。だが、楽しくない時間はとてつもなく長く感じてしまうのが人間の脳。

「熱いストーブの上に1分間手を載せてみてください。まるで1時間のように感じるでしょう。ところがかわいい女の子と一緒に1時間座っていても、1分くらいにしか感じられない。それが相対性というものです。」

かの天才科学者であるアインシュタインが冗談でこう言ったそうだ。
相対性理論なる難しい理論はさておき、人間の脳とはその感じ方次第でいかようにも変化させられるということは事実なようだ。
我々のような凡人がこの天才の冗談から学べることがあるとすれば、要はどんな状況であっても楽しんだもの勝ちだということだろうか…。

結論から言うと、今回の我々の10時間の戦いは非常に厳しい結果に終わったと言える。
だが私にとってのこの10時間は意外にも楽しい時間だったのだ。

2017スーパー耐久第5戦となる富士10時間耐久レース。
今回我々モデューロホンダレーシングは、急遽レースウィークの木曜から走行を開始することになった。チームとしてはいつもより少し早めのレースウィークがスタートだ。
ここ富士10時間はいつものレース距離の倍以上を走行することになるため、レース前にタイヤやエンジン、そしてマシンの細かいパーツ類の信頼性も含めた様々なテストが必要になるからだろう。
テストの目的は決勝レースに向けたマシンの信頼性の確認と、戦いの舞台となる富士スピードウェイサーキットに合ったマシンセットアップを模索することだ。

1回目の走行ではまず最初に私がステアリングを握り、マシンセット確認を行うことに。
走行開始早々からいくつか気になる部分はあったのだが、今回も基本マシンバランスは安定していて、走り始めから大きく外していることはない。
これは元々マシンの完成度が高いシビックTCRの強みと言っていい。

スーパー耐久シリーズ第5戦富士を終えて

今回は開幕からコンビを組んでいる2輪のレジェンド伊藤選手、そして鈴鹿の第4戦で97号車のマシンを走らせた幸内選手と道上選手も加わり、4人のドライバーで10時間を戦う。
箱車のスペシャリストでもある二人の加入は我々にとって強い味方だ。

今年WTCCにシビックで参戦中の道上選手は、このマシンを最も知り尽くしているドライバーと言っても過言ではないだろう。私のような箱車の初心者がこうしたスペシャリスト達と同じマシンをシェアして走れるというのも、今回の大きな楽しみの一つである。

スーパー耐久シリーズ第5戦富士を終えて

スーパー耐久シリーズ第5戦富士を終えて

午前は私と伊藤選手、午後からは道上選手と幸内選手がそれぞれマシンをシェアしてこの日の走行は終了。マシンバランスはまずまずといったところだろう。

ライバル達との直接的な比較が出来ていないので判断はつきにくいのだが、マシンのフィーリングは悪くない。少し気になるのはタイヤの摩耗状況とストレート区間でのスピードがライバル勢に比べて伸びていないことだろうか。
ここ富士スピードウェイはタイヤに対して厳しいサーキットでもあるので、まずはタイヤの状況を確認しながら慎重にセットアップを進めていかなければならない。
同時にストレート区間が長いこのサーキットでは、やはりストレートスピードが重要なのだ。ライバル達との位置関係は金曜、土曜の走行で見えてくるだろう…。

金曜にはドライコンディションの中、テストセッションが行われた。
この日も木曜に引き続き、決勝を見据えたマシンセットに専念することに。10時間のレースはどのチームにとっても未知の領域となるため、テスト段階で出来る限りのトラブルシューティングを行なわなければならない。
この長いレースを走りきるためにやってはいけないこと、そしてやらなければならないことをチーム、ドライバーが学習していくのだ。

我々はこの段階でタイヤに大きな問題を抱えており、この問題を解決することにかなりの時間を奪われていた。先述の通り富士スピードウェイはサーキットの特性上タイヤにもアグレッシブであるため、レース中にトラブルを出さないための対策を考えなければならない。スピードも重要なのだが、やはりトラブルなくマシンを最後まで走らせることが我々に与えられた一番のタスクなのだ。
結局この日はタイヤに対する解決策を探ることに集中することになる。

迎えた土曜日。
今回は10時間レースということもあり予選はそれほど重要ではない。
予選は通常通りのレギュレーションで行われるため、私と道上選手はあくまでレースに向けたマシンセットを確認する作業に特化することに。

我々97号車の予選は伊藤選手と幸内選手が担当する。
チームメートの98号車の方は、通常通り黒澤選手と石川選手が予選ドライバーだ。
今回こちらのマシンには新しく吉田選手が加わっている。
吉田選手はGTや86のレースなどでも活躍中のやはり箱車のスペシャリスト。
今回は併催されている大混戦の86レースの予選でポールポジションを獲得していた。
98号車は今回の結果次第でチャンピオンが決定する可能性があり、年間を通して戦っているドライバーに加え吉田選手が加わることで万全の体制になっている。

しかしこの予選は我々モデューロホンダ勢にとって非常に厳しいものとなった。
シーズン途中の鈴鹿でデビューを果たした10号車のフォルクスワーゲンが、予想以上の速さを見せているのだ。
元々ストレートスピードが速いアウディがここ富士では我々を上回るであろうことは予想していたのだが、それにも増してフォルクスワーゲンのストレートスピードが速いのだ!
これは富士であれば長いストレートを含むセクター1の区間タイムを見ていると明らかだ。
ウェイトの影響でマシンの重量もライバルたちに比べると重くなっている我々にとっては更に厳しい状況である。

ただ今回は10時間の長丁場。
スピード差には戦略も含めた戦い方で対抗するべく、その手段を考えなければならない。

予選結果は98号車が3番手、我々97号車は4番手となった。
ポールポジションは予想通り圧倒的な速さを見せた10号車のフォルクスワーゲン。
2番手には45号車のアウディと、今回はストレートスピードの速いマシンが強さを見せた結果となった。

迎えた決勝、日曜日もどうやら天気は大丈夫そうだ。
レースウィーク中には雨の予報があったりもしたのだが、どうやら上手く雨雲がサーキットを避けてくれている。
遠路サーキットまで足を運んで下さっているファンの方々のためにもこの天気は有難い。

スーパー耐久シリーズ第5戦富士を終えて

今回もスタートドライバーは伊藤選手が担当する。
開幕からスタートを担当してくれている伊藤選手だが、皆さんもご承知の通り彼の本職は2輪のライダーだ。その昔は世界GPにも参戦していた名選手、50歳を過ぎた今も現役で今年は鈴鹿8耐にも参戦されていたレジェンド。4輪に乗らせても実に器用にマシンを操っていて、毎回その落ち着いた戦いぶりはお見事だ。

決勝レースのスタート時間は朝の8時と通常よりかなり早い。
今回は10時間の長丁場なので、日没の時間から逆算するとこれくらいの時間にはスタートしなければならない。
いつもより少し早めの朝6時半くらいにはサーキットに入らなければならないのだが、早起きはかなりの低血圧である私には少々きつい。
余談だが、今回のレース前に参加全ドライバーを対象にして行われていたメディカルチェックの血圧測定で、最低血圧を記録したのは誰あろう私であったらしい。(笑)これには血圧を測ってくださった先生も驚きだったようだ。

レース進行は朝が早いこと以外はいつもと同じように滞りなく行われている。
スタート前のグリッド上の風景はなんとなく華やかだ。

スーパー耐久シリーズ第5戦富士を終えて

スタートドライバーである伊藤選手もそれほど緊張することなくこの雰囲気を楽しんでいるように見える。

いよいよスタート時刻が近づき、チーム関係者とドライバー達が思い思いのやり方でスタート前の挨拶を交わしている。その光景は実に様々で、観察していると面白い。
さあ10時間のスタートだ!

スーパー耐久シリーズ第5戦富士を終えて

伊藤選手はいつも通り落ち着いた走りで自分のペースを作っていく。
この長いレースできっちりとトラブルなくマシンをゴールまで運ぶためには、重要なポイントがいくつかある。速く走らせることだけに気持ちが行き過ぎてしまうと、思わぬところで足元を掬われることになる。木を見るのではなく、森を見なければならない。
それが耐久レースだ。僕はこのことを究極の耐久レース「ルマン24時間」で嫌というほど経験し、学んできている。

ペースはやはり10号車のフォルクスワーゲンが頭一つ抜け出している感がある。
今回98号車はエースの加藤選手がスタートドライバーを担当しているのだが、その加藤選手でも前を行くライバルのペースに合わせるのは容易では無さそうだ。
多少無理をしてプッシュしてペースを上げることも可能だと思われるが、それは10時間後のチェッカーを遠ざけることになりかねない。
今回の我々モデューロホンダプロジェクトのタスクは、まず10時間を走り切ることだ。
そのためにはあくまで自分たちのペースに集中することに特化しなければならない。

レースが進むと共に、徐々に上位勢の間隔が広がりつつある。
我らが伊藤選手はスタート順位の4番手をキープしつつ安定したラップを刻んでいる。

レースが開始して1時間を経過した辺りで最初のピットインが始まった。
今回はピットの回数が多いため、ピットでの動きも非常に重要になってくる。
我々ドライバー陣も出来る限りピットでのタイムロスを減らすべく、金曜日からドライバーチェンジの練習を何度も行ってきた。とにかくつまらないミスは許されない。

スーパー耐久シリーズ第5戦富士を終えて

この最初のピットストップで97号車は幸内選手に、98号車は黒澤選手にそれぞれがドライバーチェンジを行う。
その後も2台とも大きなミスもなく周回を重ねるが、やはりライバルである10号車、19号車との差は更に広がりつつあるようだ。
2時間半を経過したところで再びドライバーチェンジが始まる。
ここでドライバーは98号車に石川選手、97号車に道上選手の登場だ。今シーズンシビックでWTCCにも参戦している道上選手の追い上げに期待がかかる。

ここで2時間経過時点での順位を整理しておこう。
トップを走るのは10号車のフォルクスワーゲン、以下98号車、45号車、19号車、そして我々97号車となっている。周回数はいずれも62周で同一ラップだ。
一つでもトラブルやアクシデントが起きれば、この順位は全てひっくり変えることになるだろう。

スーパー耐久シリーズ第5戦富士を終えて

道上選手が走行を開始した直後にセーフティカーが入るが、数周したところでストレート区間でのオイル処理が終了。セーフティカー解除直後からの道上選手のラップタイムは安定している。流石は今シーズン最もシビックを知り尽くしている箱の名手だ。
ただ前を行くフォルクスワーゲンのペースが速い…。我々の想定以上に速すぎるのだ。

アウディ勢のペースとは何とかマッチさせることが出来そうなのだが、今回のフォルクスワーゲンのスピードは圧倒的で、その差は毎周回につき1秒はあるだろうか。
やはり長いストレート区間を含むセクター1でのタイムが群を抜いている。
これほどまでにストレートスピードに差があるとは我々にとって想定外だった。
レース序盤でライバルたちのペースが見えたこともあり、我々にとってやるべきことがより一層はっきりとしてきただろう。
道上選手はこのスティントを最後まで安定した好タイムで走り続けルーティンのピットイン。
いよいよここで私の出番だ。

スーパー耐久シリーズ第5戦富士を終えて

走行開始直後のマシンバランスはタイヤにこびりついて離れないピックアップの影響なのかオーバーステアが強い。スケジュール通りフロントタイヤの交換のみとなったのだが、交換していないリアタイヤの方にタイヤカスが引っ付いてしまいグリップを失うのだ。
FFマシンではよくあることなのだが、フロントタイヤを積極的に使うマシンの特性もあり、リアタイヤに付いたゴムが取れるまでにかなりの時間を要してしまう。
そんな事情もありマシンバランスとしては週末に入って一番難しい状況になっている。
レースも中盤を過ぎるとコースの至る所にタイヤカスが出ていて、これを踏んだ瞬間から急激にマシンバランスが変化してしまうことがあるのだ。これは台数も多く長い時間マシンを走らせる耐久レースならではの難しさでもあるかもしれない。

結局スティントの中盤まではずっとオーバーステアに苦しみながらの走行を続けることになったが、その後はマシンの動きが安定してきたこともあり、私の前のスティントを担当した道上選手と同等のラップタイムで周回を重ねる。

スーパー耐久シリーズ第5戦富士を終えて

この時点でのマシンバランスは決して悪くないのだが、ここから更にタイムアップを望むべくプッシュすることは難しい。
長丁場であることを考えマシンを労りながらの走行の中、出来る限りのスピードでは走っているのだが、このペースでは10号車には追い付けない…。
ルーティンのラップ数を終えてピットに戻り、ここでスタートドライバーを務めた伊藤選手に再びバトンを渡す。ここでちょうど4人のドライバーが一巡したところだ。
レースはスタートから約5時間が経過している。

スーパー耐久シリーズ第5戦富士を終えて

この時点での順位は以下の通りだ。
#10 #97 #98 #19 #45

フォルクスワーゲンが更にリードを広げているのだが、98号車のシビックも同一周回数でその背中を追っている。
周回を整理すると、トップを行く10号車と2番手の98号車が120周で同一周回、我々97号車のマシンは119周、19号車が118周となっている。
どうやら45号車のアウディはトラブルによりピットから離れられないようだ。

本日2度目のスティントとなる伊藤選手は、走行開始からいつも通りの安定したスピードで周回を重ねている。
この時点での我々のタスクは兎にも角にも、ミスなくゴールまでマシンを運ぶこと。
当然伊藤選手も無理はしていない。
レースは半分近く残っていて、まだまだ何が起こるか分からないのだ。

だがそんな矢先にアクシデントが発生してしまう。
そのアクシデントがまさか我々のマシンに起こってしまうとは…。
我々のマシンが100Rでクラッシュとの情報が!

無線では自力でピットまで戻れると伝えてきているのだが、どうやらマシンには深刻なダメージがありそうだ。
何とかピットまで辿りついたマシンを見てみると、マシンの前部がかなり大きく破損している。その範囲はラジエターにまで及んでいるだろうか…。

スーパー耐久シリーズ第5戦富士を終えて

マシンをピット内に戻し、直ぐにメカニック達が修復に取り掛かる。
まずは損傷箇所の度合を確認して修復が可能かどうかを判断する。
スペアパーツの有無、作業時間を逆算してからの作業となるのだが、どうやら何とか修復は可能なようだ。

スーパー耐久シリーズ第5戦富士を終えて

我々としてはどうにかしてリタイヤだけは避けなければならない。
98号車に関してもエンジンにトラブルを抱えてしまい、その原因究明のためにピットイン・アウトを繰り返している。その間に19号車のアウディにもトラブルが起きているようだ。
本当にレースは最後まで何が起こるか分からない。

ここから我々のピットは戦争状態になる。
一刻も早くマシンを修復して戦列に復帰しなければならない。
順調にトップをひた走る10号車と2番手を走る45号車に何も起こらなければ、事実上周回数では勝負にならないのだが、やはり最後まで諦めたくはない。
我々としては少しでも早く戦列に復帰し、ラップ数を稼がなければならない。

一方の98号車も最低周回数をクリアするべく、トラブルの原因を探しながらの走行を続けている。

ここから2時間以上が経過しただろうか。
童夢のメカニック達の必死の作業によりマシンは修復を終え、再び戦列に復帰することになる。
ドライバーは幸内選手だ。
元々シビックレースなどの箱車で活躍されていたこともあり、箱車でのドライブは慣れたものなのだろう。
この2度目のスティントに入ってからのペースは素晴らしかった。
2度目となるシビックTCRのマシンのドライビングもマスターしてきているように見える。
スティントの後半にはタイムもかなり向上し、最後まで大きなミスもなく走行を終えていた。
彼とは次の最終戦岡山でも共に戦う予定なので、この力強い走りは我々97号車にとっても心強い限りだ!

ここでレースも残すところ1時間強となった。
残りの時間は道上選手と私がマシンをシェアすることになっている。
上位2台の10号車、45号車は共にトラブルなく走行を続けている。
我々は既にかなりの周回を失っているため、ここからはとにかくミスなく、トラブルを避けた走りでチェッカーまでマシンを運ぶことだけに集中しなければならない。

以下が8時間を経過した時点での順位だ。
#10 #19 #97 #98 #45

ノートラブルで走り続ける10号車に対して、ライバルであるアウディと我々シビック勢はアクシデントとトラブルにより大きく後れをとってしまっている。
周回数はそれぞれ、239周 232周 210周 203周となっている。
45号車のマシンはどうやらリタイヤという形になったようだ。
こちらは道上選手がミスなく最後の30分強を走り切り、私へとバトンを繋いでくれた。

あとは私が確実にマシンを走らせゴールを目指すだけだ。
日が完全に西に傾き少し暗くなり始めたサーキット。
ちょっと視界が悪くなり始めているのだがもう無理をすることはない。
ここにきてマシンバランスは安定している。

スーパー耐久シリーズ第5戦富士を終えて

そしてようやくその時がきた。
長く厳しい10時間をチーム全員の力で戦い抜き、遂にチェッカーフラッグを受けることが出来た!
途中他車に接触されてしまい諦めかけたレースだっただけに、この完走は素直に嬉しい。

そして我々97号車のマシンは、チームの頑張りへのご褒美と言っても良いであろう、3位表彰台を獲得することが出来たのだ!
チームメートの98号車も黒澤選手がベテランの技で粘りに粘って、何とかチェッカーを受けることが出来た。こちらも4位でレースを終えることが出来たのは、チームにとって大きな意味があるだろう。

チームとしては最低限の目標であった2台揃っての完走をこの難しい10時間レースで果たすことが出来た。

スーパー耐久シリーズ第5戦富士を終えて

そして…最後の最後で面白い?!事実が判明した。
このレース結果により最終戦を残し98号車のチャンピオンが決定したのかと思いきや、何と最終戦で我々モデューロホンダプロジェクトのマシン2台がチャンピオン獲得を賭けてのガチンコ勝負をすることになったのだ!

ただこのチャンプ争いで圧倒的に有利なのは98号車の方である。98号車は最終戦で完走さえすることが出来れば、レースでの順位に関係なく自動的にチャンピオンが決定する。我々97号車に関しては、優勝が最低条件、且つ98号車がリタイヤとなった場合にのみチャンピオンになれる可能性が残されているという、チームとしては少々微妙な話でもあったりするのだ。(苦笑)
さて、次戦はどんな戦いが我々を待ち受けているのだろうか?!
今から今年最後の戦いとなる岡山でのレースが楽しみで仕方ないのは、僕だけではないだろう。

毎回のように違ったドライバーがステアリングをシェアしている我々97号車としては、このような面白い展開で最終戦を迎えることなど予想だにしていなかった…。
最終戦を共に戦うのは2輪の伊藤選手、もう一人は今回の富士で初めてステアリングをシェアすることになった幸内選手だ。幸内選手にとって岡山は地元のサーキットだとも聞いている。
一方経験も実績も豊富なドライバーが揃っている98号車のマシンは開幕から変わらぬ不動のメンバーだ。

箱車は初心者マークであった私も今年はこれまで既に4レースを経験させてもらっている。もう箱初心者の言い訳は出来ないだろう。(笑)
この最終戦では、他のライバル達もこれまで以上に激しいアタックを見せてくると思われる。今シーズン未勝利のアウディ、そして今回の富士で圧倒的なスピードを見せたフォルクスワーゲンも強力なライバルだ。

このシーズンを締めくくる最終戦での我々にとって最も重要なタスクは、このライバルたちを退けて有終の美を飾ること。もう一度今年ここまで築き上げてきたチーム全員の協力関係を更に強固なものにして戦わなければならないだろう。

最終戦は私にとっては8年振りとなる岡山国際サーキット。
前回このサーキットを訪れたのは8年前のアジアンルマンシリーズだった。この時は5年振りの岡山であったが、LMP1クラスで総合優勝を飾ることが出来、今でもいいイメージが残っているサーキットだ。

今年最後のレースを、仲間達と共に集中して思いっきり楽しむことが出来れば最高だろう。それこそが今シーズン我々モデューロホンダプロジェクトがシビックTCRでスーパー耐久へと参戦している最も大きな理由でもある。

このレポートの冒頭にもあったのだが、楽しむことが出来てこそそこに大きな意味があり、その境地へと到達することこそがこの挑戦の究極の目標なのだ!

スーパー耐久シリーズ第5戦富士を終えて

中野信治

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